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フランス新大統領がニコラ・サルコジー
(Nicolas SARKOZY)氏に決定しました!!

長かったシラク政権が終わり、新しいフランスの始まり
という意味もあり、今回の選挙戦は5年前と比べて、
国民もかなり真剣に選挙戦を見守っていました。
4月22日に行われた第一回投票(候補者の中から
上位2組を選ぶ)では、84.6%、今回の第二回投票では、
85.5%という日本では考えられないようなものすごい投票率を記録しました!

決戦に残った社会党のセゴレンヌ・ロワイヤル氏が46.9%、サルコジーは53.1%
の票を獲得して、大統領に選ばれました。

現在のフランスの最大の問題点は、、、@失業率対策 A移民対策 B税金
C治安 です。サルコとロワイヤルを含めた12人の候補者は、この問題点に
重点を置いた演説を繰り返してきました。

さて、第一回投票で1位だったニコラ・サルコジー氏(Nicola
SARKOZY)と2位だったセゴレンヌ・ロワイヤル氏(Segolene
ROYAL)の戦いの末、サルコジー(通称サルコ)が大統領に
選ばれたわけですが、ここまで、この二人の間で、フランス人の
意見も真っ二つにわかれていました。

参考までに、政治を得意としない私が理解している範囲で、
サルコジーとロワイヤルの紹介をしてみます。

ニコラ・サルコジー(Nicolas SARKOZY)氏・・・UMP(国民運動連合)。
フランスの政治家としてはとても珍しくパリ大学卒弁護士!
シアンスポーを経て、1983年にヌイイ市長となり、
本格的に政界へ入ったようです。
その後、2002年に内閣入りし、2005年からこの間の
第一回投票まで、内務大臣を勤めていました。52歳と
若いのですが、政界での経験は、他の候補者と比べものにはならないほどです。
ハンガリーからの移民で、父はハンガリー、母はギリシャ系ユダヤ人ですが、
祖父の代にキリスト教へ改宗。
「稼ぐには&フランスを経済国として世界へ示すには、もっと働くべき!」と主張。
移民対策や失業対策、、、我々日本人からしたら、もっともだ!という
主張をしています。
右派(保守派)ですが、左派がよく主張する"文化的改革"も提唱し、
アメリカとの関係改善、ヨーロッパの中心としてのフランス確立を訴えています。
フランスの政治家やエリートが行くシアンスポー(SCIENCES POLITIQUES/パリ
政治学院)の後、エナ(ENA/国立行政学院)を出ていないので、従来のフランス
政治家にはない比較的庶民的で自由な考えをする政治家だと考えられています。
背が低く、強面(?!)で、しばしば強い発言をするので、彼の政策はさておき、
"サルコはキライ!"というフランス人は多かったです(笑)。

セゴレンヌ・ロワイヤル(Segolene ROYAL)氏・・・PS(社会党)。
女性初フランス大統領!?と期待されていました。
ENAを卒業後、1982年ミッテラン社会党政権時代に
本格的に政界へ。環境相、教育担当相を勤めました。
女性・母というのを全面に打ち出し、労働者、身体障害者
など社会的弱者の味方と訴えています。
セネガル生まれで、父は軍人で厳格な家庭に育ったと言われています。
ENAの同窓で、社会党のオランド第一書記と事実上結婚しており、夫でありながら、
常にロワイヤルをバックアップしていた姿が印象的でした(笑)。
「週32時間労働!」など、フランス人が好む、労働時間は少なく&仕事以外の
"生活"と福祉をさらに充実させようと訴えていました。
第一回投票前は、外交にも強いというのを示すため、世界中をまわりましたが、
そのたびに失言を繰返してしまいました(笑)。
"フランスの母"になるべく、演説する姿は、まるでメシア・・・、公衆の前に
出るたびに変わるファッションに、「モデルと勘違いしてるんじゃないの?!」
「単なるマリオネット!」と皮肉るフランス人は多かったです(笑)。

私の周りでも、選挙の話が出てましたが、ざっと紹介すると、、、
・在仏日本人の意見・・・私の知っている在仏日本人の方はわずかだと
               思いますが、全員がサルコジー派でした!
               現在の35時間制ですら、十分な仕事ができてない
               フランス人ロワイヤルの言う"32時間労働"になったら、
               ますます労働力&経済力が衰え、世界から退いてしまうと
               考えるからです。

・シアンスポーの友達の意見・・・社会党が政権を握ったら、20年前のフランスに
                     戻ってしまう!ヨーロッパ法案を拒否したフランス
                     がヨーロッパと世界の中で、経済的中心国に返り
                     咲くには、サルコジーが必要!
                     フランス人はもっと世界の情勢を知らなくては
                     いけない。

・ ホテルのディレクターたちの意見・・・35時間ですら従業員の勤務体制をどうして
                         いいかわからないのに、32時間なんて
                         冗談じゃない!さらにホテル業は6週間の
                         有給を与えなければいけない(普通は
                         5週間)。
                         こんな労働環境もかえていかないと、
                         世界に乗り遅れる!サルコジーなら
                         変えられる!

・ お医者さんたちの意見・・・日本ではロワイヤルが人気だって聞いたけど、
                  どうして!?彼女が大統領になったら、フランスは
                  終わり!

・ 大手観光バス会社の意見・・・うちの会社はロワイヤルのポスターを会社に
                    貼って応援してます!サルコはみんな嫌い!!
                    サルコだって移民のくせに、どうして移民に対して
                    あんなに強い姿勢を示すの?

・ 管理職サラリーマンの意見・・・サルコが大統領にならなかったら、フランスは
                     終わり!ロワイヤルになったら、外国で働くよ!
                     ロワイヤルのようなやり方は、さらにフランス人
                     が世界を見なくなって、フランスや自分の生活の
                     ことしか考えなくなる!フランスは世界から孤立
                     している!

・ 一般サラリーマンの意見・・・サルコを支持してるのは、エリートとお金持ちだけ!
                   普通の市民のことなんてサルコは考えてない!!

私がいつも感じるのは、フランスは日本と比べて、階級差が激しいということです。
エリート・管理職などの人たちと、一般の人たちとの意見が分かれてるということ
です。エリートたちは、働けば働くほど稼げるし、良い地位にいけます。一般の人
たちは、働いても、ある程度の地位までしかいかれないんです。だから、適当に
働いて、あとは自分たちの生活を重視するんです。
日本よりも学歴重視な部分があり、例えば、シアンスポーを卒業したばかりの、
社会経験ない人でも、シアンスポー卒業というだけで、入社後はいきなり管理職
なんです。エリートの人たちは、世界情勢や経済に敏感だし、日本人のように一生
懸命働くことも当然だと思っているので、サルコジー派が多いんですね。でも一生
懸命働いても、自分の地位も収入も変わらなければ、やる気なくなるのも当然です
よね(笑)。これを今回サルコジーは変えようとしているわけです。残業したければ
残業してお金を稼げばいい、35時間のままがいい人は、35時間だけの労働でいい
よ・・・などなど。

さて、新大統領に決定した直後の、サルコジーの第一回
演説はどうだったかというと・・・
「私はフランスが大好きで、ようやく私がフランスへ
 恩返しできる時がきた!
 ロワイヤル氏に敬意を表するし、ロワイヤル氏を
 応援していた人々にも敬意を表します。
 この勝利はフランス対フランスの戦いでの勝利ではない。
 私はフランス人全員の大統領としてがんばる!フランス人に、フランス人である
 誇りを取り戻させたい!この選挙で、フランス国民は、過去の考え・習慣・
 振る舞いを断ち、 新しい改革を選んだのだ!
 今夜、フランスはヨーロッパへ戻ってきた!アメリカとは友好関係にあり、
 今後も環境問題など、世界のリーダーとして、一緒に取り組んでいかなければ
 ならない。
 フランスは、世界中の弱者・自由を奪われた女性たちなどを
 支援し続ける!!フランス万歳!」
 と、このような感じの内容で、最後は、フランス大統領では
 なく、"世界の大統領!?"かと思うほどの発言で(笑)、
 ちょっと驚きましたが掲げていた公約を全て実現させ、
 新たなフランスを築く勢いを感じました。


新大統領を祝うために、6日夜は、コンコルド広場でコンサートが行われ、夜中の
1時まで、約3万人の人が集まっていました!!
これはサルコジーだったから、こんな盛大だったわけではなく、新大統領が誕生
するときは、必ずお祭り騒ぎになるそうです(笑)。

初女性大統領となるためにがんばったロワイヤル氏ですが、2日に行われた
サルコジー氏との口論生放送では、あいまいな回答しかできない上、何かというと
サルコジー氏を批判することしかしないロワイヤル氏に対し、
冷静に具体的な回答をし続けていたサルコジー氏がやはり頼もしく見えました。
社会党の人たちは、今回余裕がなかったのか、公約よりも、"サルコジー叩き"が
先になってしまったところが、敗因の一つではないかと思います。


フランスは、日本と比べて国民が政治に興味がある国と言えると思います。
恥ずかしながら私は日本にいたときは、政治にまったく興味がなかったのですが、
フランスに来てからは、政治の話についていけないと、友達同士のジョークにも
ついていけない状況で(笑)、自然と政治の話を聞くようになりました。
今年に入ってからは、地下鉄の中で、投票権のない高校生ですら新聞を真剣に
読んでいるし、子供が見るアニメ番組ですら、「選挙とは?」と子供たちに質問を
なげかけるコーナーがあり、驚くことに子供たちもきちんと自分なりの意見を言える
んですね・・・。年齢関係なく政治に&自分の国に関心をもっているフランス人を
見直しました!

さて、シラク大統領ですが、すでにセーヌ沿いのルーヴルを眺める
一等地に、アパートを賃貸契約をしており、エリゼ宮を出る準備
万全と言われています。シラク大統領も、選挙戦の前に演説を
したのですが、これはとても素晴らしい演説で、これまで、
「シラクなんて何もしてないおじいちゃん!」と不満をつのらせて
いたフランス人ですら、「シラクが立候補したら、シラクを支持
する!」なんて言い出したほどでした(笑)!
シラク大統領は、大統領の任期が終わったら、パリ市長時代の悪さのツケ(架空
投票などなど)のため、刑務所行き?!と言われていましたが、サルコジーが
大統領になったら、このツケももみ消すと言って、シラク大統領の支援を得たとも
言われています(笑)!?
それにしても、シラク大統領は背も高くて、堂々としてて、大統領の威厳がありました
よね(笑)!?

シラク大統領に比べて、サルコは日本贔屓ではありませんが、、、日本の貨幣と
中国の貨幣を間違えるほど、日本には興味がないようですが(苦笑)、、、今後も
日本とフランスの関係を良好に保ってほしいですね!

一夜明けて、サルコジー氏は、早々にプライベートジェット機を借りて、プライベート
ヨットを借りて、マルタ島へ・・・・・・・。
パリを留守にする必要はあったようですが、何もここまで成金のように派手な
ヴァカンスにしなくてもいいのではないかと、早くも非難を浴びています。
確かに、フランスの田舎で質素なヴァカンスを送った方が、"庶民的"という
イメージを与えられて、よかったと思いますが(笑)・・・。

7日付のフィガロ紙、リベラシオン紙にサルコジーの若き頃の写真が載っていた
ので、紹介しておきましょう!


←1986年 シラクパリ市長とともに。
 サルコジーは、シラクを"政治の父"と慕っていました。





←1983年 28歳の若さでヌイイ市長に選ばれたときの
  写真。






←1976年 シャンゼリゼで反ストライキ運動に
  参加しているときの写真。



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